血圧を下げる方法20mmHg

目次

消費者庁がライオンのトマト酢生活に2016年に勧告

消費者庁の勧告

出典:ライオン株式会社に対する健康増進法に基づく勧告について

2016年3月1日に勧告があったのは、株式会社ライオンのトマトジュース(トマト酢生活)は、2007年5月17日に厚生労働省の特定保健用食品に認定され、「血圧が高めの方に」という文言とトクホのマークを使用する許可を得てました。 問題となったのは、2015年9月15日~11月27日までに日刊新聞に掲載されたトマト酢生活の新聞広告です。 下記がその当時の広告になります。

トマト酢生活の新聞広告

行政の前提として、2009年9月以前は、トクホの管轄は厚生労働省でしたが、それ以降は消費者庁に変更されてます。 ライオンのトマトジュースは、厚生労働省時代に特定健康食品に認定されたもので、2016年3月に勧告を行ったのは、消費者庁になります。

消費者庁が勧告した内容や、消費者庁「食品表示対策室」の三上室長の内容を抜粋したのが下記になります。
① 特定保健用食品であって、血圧を下げる効果があると表示することについて消費者庁長官から許可を受けているものではなく、また、高血圧 は薬物治療を含む医師の診断・治療によらなければ一般的に改善が期待できない疾患であって、薬物治療によることなく、本件商品を摂取するだけで高血圧を改善する効果が得られるとは認められない。
② 広告は50~80代に訴求している。年齢が高いほど、高血圧の割合が増え、中には病気ではないかという人もいる。そうした人に『薬に頼らず下がる』と広告すると適切な診療の機会を奪う。

トクホ(特定保健用食品)は血圧を下げる効果がないのか?

特定保健用食品のトマト酢生活

参照:トマト酢生活(国立研究開発法人)

トマト酢生活が2007年に特定保健用食品に認定された際に許可された文言は「本品は食酢の主成分である酢酸を含んでおり、血圧が高めの方に適した食品です。」 関与成分は「酢酸」になります。 特定保健用食品とは、健康な人が食品を接種することで健康を「維持」しやすいものという定義になっているので、すでに高血圧で健康ではない人が血圧を下げる効果は保証しておりません。 消費者庁が勧告した通り、新聞広告を見た50~80代では統計的に50%以上の人は正常血圧値を超えているので、病院の薬を処方するべきなのです。

医師の集まりの日本高血圧学会のガイドラインでは、特定保健用食品の認定での実験期間が12週間前後と、エビデンスには乏しい短い期間が多いと効果を否定しています。 トクホの効果が全くないということはなく、酢酸は「血管抵抗を低下させる」効果があります。しかし、どの程度の血圧を下げる効果が期待できるかは明確ではありません。 高血圧ガイドライン2019では、「特定保健用食品には降圧効果を有する成分が含まれてはいるが,十分な降圧効果は期待はしがたい。」と記されています。

トマトジュースの売上は年間で275億円

トマトジュースの市場規模

ライオンのトマト酢生活の年間売り上げが勧告前は10億円だったという情報で、その20倍以上の市場があるというのがカゴメの予想のようです。 2018年1月から、機能性表示食品として「血圧が高めのかたに」「善玉コレステロールを増やす」という表示をするように変更されました。 カゴメが機能性表示食品にすることで、トマトジュース全体の売上規模は、2017年の売上が255億円から2020年の売上が275億円にアップしました。 カゴメの血圧を下げる効果の関与成分は「GABA」で、ライオンの「酢酸」とは異なります。 GABA(γ-アミノ酪酸)が関与成分で、血圧が高めの方にで特定保健用食品に認定されている商品は3つ販売されています。

  • プレティオ(ヤクルト)
  • 緑の抑茶 (佐藤園)
  • 南瓜緑茶 プレスカット(カイゲン)

高血圧ガイドライン2019では、GABAについては下記のように記されております。 γアミノ酪酸(GABA)はバソプレシン分泌抑制や,神経節のノルアドレナリン放出抑制などによる降圧機序が知られている。 バソプレシン分泌抑制というのは、利尿効果があり、体内の塩分を排出することで血圧を下げる働きがあります。 ノルアドレナリン放出抑制は、怒りや感情で血圧が上がる状態を鎮静化させる意味になります。

高血圧ガイドラインでは成分についての効果は保証しているのですが、食品として接種してどれくらい血圧が下がるのかは保証できないとされてます。 原文ママで「 特定保健用食品については,降圧薬の代替品にはならず,降圧効果に過剰な期待をもたないように説明するとともに,摂取については積極的に勧めない。」とあります。 医師会が作ったガイドラインなので、医師の営利を考えるとトクホを勧めないというのも何が本当なのか判断を迷ってしまいます。

参照:高血圧治療ガイドライン2019

トマトジュースと血圧の効果を時系列でみる

2007年5月 株式会社ライオンのトマト酢生活が、初めて「血圧が高めのかたに」でトクホ認定される

2016年3月 消費者庁が、ライオンにトマトジュースでは血圧を下げる効果はないと勧告

2018年1月 カゴメがトマトジュースで、機能性表示食品に変更

2019年 医師会のガイドラインで、トクホでは血圧を下げる効果はないと記される

血圧140以下であれば、健康維持目的にトマトジュースを購入するのはあり

消費者庁が勧告した法律は「健康増進法」に該当します。 健康増進法とは、国民の責務で「生涯にわたって、自らの健康状態を自覚するとともに、健康の増進に努めなければならない。」と法律にあります。 消費者庁や高血圧ガイドラインで、否定されている内容は、すでに高い人は特定保健用食品では健康を維持できないので、病院に行ってくださいというものです。 高血圧の基準は現在140です。普段から数値が160を超えるような人が、トマトジュースで血圧を下げる効果に期待してしまうのは、危険であると認識するべきです。 血圧が140近くでこのまま数年維持したいという方が、トマトジュースを購入するという目的であれば良いと思います。

ライオンとカゴメでは、どちらのトマトジュースが血圧には良いのか

特定保健用食品で「血圧が高めのかたに」が認定されていて現在も販売されているものと関与成分は下記になります。

  • プレティオ(GABA)
  • 緑の抑茶 (GABA)
  • 南瓜緑茶 プレスカット(GABA)
  • 胡麻麦茶(ゴマペプチド)
  • エースブロック(サーデンペプチド)
  • イワシのペプチド生活(サーデンペプチド)
  • ヘルケア(サーデンペプチド)
  • プレスライフS(サーデンペプチド)
  • マリンペプチド(サーデンペプチド)
  • エスピーマリン(サーデンペプチド)
  • マインズ(酢酸)
  • トマト酢生活(酢酸)

トマト酢生活は、利尿作用が特徴なので、塩分を多く接種している自覚がある人に適しております。 一方で、GABAのカゴメトマトジュースは、ストレスからくる血圧上昇を抑える働きがあるので、仕事が忙しい人やストレスが多い人に向いております。 どのトマトジュースが良いかは、個人が何故血圧が高くなっているかの原因に合わせて選択するのが良い方法になるのでしょう。


TOPページのロゴ

矢印 血圧を下げる方法の一覧【実践20mmHg】即効性

このページの先頭へ